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昨年の師走に猫が来た。
本書のタイトル「r4ンb-^、m「^」は、初めて猫がキーボードの上でステップを踏みながら打鍵した文字列だ。意味はわからない。
この世に猫エッセイは数あれど、食わず嫌いでほとんど読んだことがない。他人の家の猫など知ったことではないからだ。あと、なんか猫は素晴らしいものということを自明の理のようにして語る厚顔さも予感されて苦手だ。だから、わざわざ自分で猫の本を作るなんて考えたくなかった。でも、やっぱり作りたくなってしまった。まだ始まったばかりの猫との暮らしへの戸惑いが残っているうちに、一冊作っておこうと思われたのだ。
この本には、あたりまえではない、そのくせありふれている、他者を生活に迎え入れることについての記録と思索が収められている。(「はじめに」全文)
【目次】
はじめに
選ばないで済ませたかった
それぞれであること
名前をつけてやらないといけない
猫を待つ日記(抄録)
欠けていない耳、片方だけの目
振り回されるという愉悦
動物であること
猫が来る前の日記の猫(抄録)
おわらない
著:柿内正午
装画・挿絵:小萩海
発行:零貨店アカミミ
ページ数:134
判型:B6判
発行:2025年3月
■著者について
柿内正午(かきない・しょうご)
会社員・文筆。楽しい読み書き。著書にプルーストを毎日読んで毎日書いた日記を本にした『プルーストを読む生活』、いち会社員としての平凡な思索をまとめた『会社員の哲学』など。Podcast「ポイエティークRADIO」も毎週月曜配信中。