【古本】おわりの雪
山間の町で、病床の父と、夜こっそり家を留守にする母と暮らす〈ぼく〉は、ある日、古道具屋の鳥籠のトビに心を奪われる。季節のうつろいのなかで描かれる、生と死をめぐる美しい寓話。
【店主より】
トビが欲しくなり、トビを手に入れるためにある仕事を引き受けてしまう少年と、その父親との物語。動物が好きな人は読んでいて辛くなるかもしれないけれど、あまりにも静かであまりにも淡々としている物語なので、私は辛い事実も静かに受け入れることができた。
この物語は主人公と病気の父親の絆の話でもある。父親はなんの病気なのかはわからないし、母親も訳ありな感じだけどそれについてはあまり詳細が明かされない。そういう、特に伝えなくても物語の理解に支障がないことはとことん削り落とされている、そういう作品です。
小川洋子さんの小説が好きな方は、作風が近いと思うのでおすすめです。
描写はとても美しく、特に雪の描写のリアリティに圧倒されます。
著:ユベール・マンガレリ
訳:田久保 麻理
装画:クサナギ シンペイ
出版社:白水社
発行年月日:2004年12月10日 初版発行
定価:1,600円+税
本の状態:普通/帯あり
帯にスレあり
カバーにスレあり(写真4枚目参照)