憶えている人 vol.1
不定期刊行書き下ろしシリーズのエッセイ、第一弾。
胸のうちにいる、もう会い交わることのない「人」のことを毎回さまざまなテーマをくくり、描いていくシリーズ。第一弾は〈アルバイト篇〉。
気がつけば少し風変わりな職種もふくめ、20年間で33のアルバイトに就いてきましたが、
その中でもとくに印象にのこっている人々との凝縮された時間を綴った13篇を書き下ろしで収録しました。
憶病であるということは、
たくさん憶えているということだ
*
あれはどうしてそうだったろう
あの人にとって、人生は何だろう
夜になると光る星とおなじに
暗いときに光るものが人生にある
小さくて、こたえのない
とるにたらないことにほど宿るその光を
いつまでも憶えている
*
葬儀の配膳、牛乳配り、爺さんの家の掃除人、シッター、タワーマンションの受付―――
さまざまなアルバイト先での、十三篇の合縁奇縁
出会わなくてもよかった人はひとりもいなかった
(著者より)
著:関根 愛
ページ数:83
サイズ:縦 17.7cm×横 11cm×厚み約 0.7cm
発行年月日:2024年10月11日 初版第1刷